コレクション 町田市立国際版画美術館

『東海道五拾三次』庄野 白雨

『東海道五拾三次』庄野 白雨

歌川広重
うたがわ ひろしげ
1797(寛政9)~1858(安政5)

『東海道五拾三次』庄野 白雨
とうかいどうごじゅうさんつぎ しょうの はくう

1833~36(天保4~7)年頃
木版(多色) 225 x 347 mm

説明

庄野は三重県の地名で、描かれているのは夕立の場面です。突然の激しい雨に降られ、人々はたまらず坂道をかけ出します。雨をしのぐのに必死で、誰も話をする余裕はありません。空はみるみる暗くなり、道の後ろの竹やぶは影絵のようです。広重は雨の風景を描くことを得意とし、この作品はもっとも有名なものの一つです。

庄野は伊勢国(いせのくに、現在の三重県)の宿場です。広重はこの宿場を描くにあたり、明らかに庄野の風景とわかるランドマークを選ばず、何の変哲もない坂道を題材としました。突然の激しい夕立に、人々はたまらず坂道を駆け出します。誰もが雨をしのぐのに必死で、話をする余裕はありません。空はみるみる暗くなり、背後の竹やぶはシルエットとなっています。人々がすれ違い、お互いに背を向けて遠ざかってゆく構成は、「蒲原」(かんばら)と同様です。『東海道五拾三次』シリーズの中で、広重はこうした人物の配置を好んで用い、旅のわびしさを表現しました。「蒲原」もそうですが、広重はこうした一見すると特徴のない風景を、印象的なものに変えることを得意とした浮世絵師です。

閉じる