二菩薩釈迦十大弟子 富樓那(ふるな)
棟方志功
むなかた しこう
1903(明治36)~1975(昭和50)
二菩薩釈迦十大弟子 富樓那
(にぼさつしゃかじゅうだいでし ふるな)
1939(昭和14)年
木版 924 x 300 mm
説明
『二菩薩釈迦十大弟子』は棟方志功の代表作。上野の東京国立博物館に展示されていた、興福寺の須菩提(しゅぼだい)を見て触発されて制作したといいます。「富樓那」(ふるな)は弁舌に優れていたとされる高弟のひとりで、説法しているらしき姿が力強く表されています。
棟方はこの連作を、「どれが須菩提で、どれが目犍連(もくけんれん)か、そういうことはひとつもわからずにつくりました。・・・・・名はあとからつければ良いと思って、あらゆる顔、形、あらゆる人を十に彫ってみたいと思ったのです」、「下絵も描かず、版木にぶっつけに筆を下ろしました」(『板画の道』)と云っています。仏典に忠実に彫るのでなく、仏像に現世の人間の姿を重ね合わせて彫った、換骨奪胎の作品といえるでしょう。像の肢体の上部と下部、左右の端が切れていますが、それがかえって像を窮屈に閉じ込めようとする枠に反発するかのようで、作品の力強さとなっています。