コレクション 町田市立国際版画美術館

四人の騎者(『黙示録』より)

四人の騎者(『黙示録』より)

アルブレヒト・デューラー
1471~1528

四人の騎者(『黙示録』より)

1498年制作/初版刊行
1511年再版刊行
木版 393 x 280 mm

説明

手に弓や剣、天秤などをもち、馬にまたがった4人の人物が、人々を蹴散らしながら猛スピードで走り抜けていきます。彼らは地上の人々を滅ぼすよう神に命じられたのです。『黙示録(もくしろく)』と呼ばれる聖書の一説をデューラーは迫力ある木版画であらわしました。

アルブレヒト・デューラーはドイツのニュルンベルクという町で生まれ、画家・版画家として活躍しました。『黙示録』は全部で15枚、表紙を入れると16枚からなります。木版画が刷られた紙面の裏には聖書の黙示録の文章が印刷されており、綴じあわせて書物のかたちで世に出されました。デューラーは黙示録の文章と版画とを、見開きで眺めることができるようにしたのです。ただ、描かれた場面は向かい合わせの黙示録の文章と必ずしも一致していません。デューラーの画像は文章を忠実に追ってはいないからです。描かれた場面は大胆な省略や複合が施されています。活版印刷術が登場してかれこれ半世紀。多くの木版挿絵が入った聖書も多くみられるようになったこの時代にデューラーが作り出したのは、木版画と聖書の言葉が独立しつつ響きあう、そんな作品だったのです。本作の驚異的な木版画の力強い表現力は、まだ20代後半だった作者の名前を一躍有名にしました。宗教改革前夜のドイツ、乱れた人間の世界は神の意志により終わりを告げ、恐ろしい最後の審判がはじまる…デューラーは聖書の文章と木版画によって多くの人々にそんなメッセージを届けようとしたのでした。

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