コレクション 町田市立国際版画美術館

空を飛ぶメフィストフェレス(『ファウスト』より)

空を飛ぶメフィストフェレス(『ファウスト』より)

ウジェーヌ・ドラクロワ
1798~1863

空を飛ぶメフィストフェレス(『ファウスト』より)

1828年刊
リトグラフ 407 x 274 mm

説明

挑戦的なまなざしで天をにらむ悪魔メフィストフェレス。ゲーテの代表作『ファウスト』に、ドラクロワが寄せた挿絵のなかの1点です。画家が描いた線をそのまま写し取れるリトグラフならではの、力強く生き生きとした表現です。

リトグラフは18世紀末に発明されましたが、この技術を用いて、早い時期から優れた美術作品を制作した画家の一人がフランスのドラクロワです。『ファウスト』は挿絵本として出版されたものですが、すべての挿絵を、まるで独立した版画作品のように、一ページ大で制作するという手法は、本の様式としては当時の常識を破るものでした。さらに、明暗の激しい対比や、デフォルメされ歪んだ人体などのロマン主義的な表現もあいまって、この作品は当時の人々に大きな衝撃を与えたのでした。

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