コレクション 町田市立国際版画美術館

UNDERWOOD - 1

UNDERWOOD - 1

若林奮
わかばやし いさむ
1936(昭和11)~2003(平成15)

UNDERWOOD - 1

1989(平成元)年
リトグラフ 1000 x 755 mm

説明

若林奮は町田出身の彫刻家で、生まれ育った場所の記憶にもとづく作品を数多く制作しています。版画を多数制作した美術家でもありました。タイトルはニューヨークに本社があったタイプライターのメーカー、Underwood Typewriterから採られています。

この作品は、9点のリトグラフ集に収められた最初の1点です。各作品は主に3つのイメージをコラージュして構成しています。そのひとつは山の斜面です。次のことばにもうかがえるように、それは若林にとって「空間」と「大気」として把握されていました。「一見したところ細く灰白色の山は、自分の左側にどこまでも続いているようであった。しかし、それは山ではなく、様々なものを含み、また選択して形成した広大な斜面を予想させる大気の状態のようでもあった」(「1974年・地方に於ける小気象」)。残り二つのイメージは、地下鉄とタイプライターです。地下鉄は筒状の暗い空間と、そこを通過する電車の前と後の平面という関係によってイメージされています。タイプライターは、奥行きのある空間に対する壁として描かれています。こうした空間を強く意識した構成は、彫刻家ならではの感覚から生まれているといえるでしょう。

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