シリーズ<現代の作家>
反骨の画家 利根山光人展  ―バイタリティーを求めて―

企画展
シリーズ<現代の作家>
反骨の画家 利根山光人展  ―バイタリティーを求めて―
フィエスタ 1978年 スクリーンプリント 620×830㎜ 個人蔵

展覧会情報

会期:
2013年6月22日(土) ~ 8月4日(日)
月曜休館 但し7月15日(祝)は開館、翌16日(火)休館

入場時間:
平日 10 :00~17 :00(入場は16 :30まで)
土・日・祝 10 :00~17 :30(入場は17 :00まで)

会場:
町田市立国際版画美術館
〒194-0013 東京都町田市原町田4-28-1 ℡:042-726-2771

観覧料:
一般:600(500)円/大学・高校生と65才以上300(200)円
中学生以下は無料
・( )内は20名以上の団体料金
・展覧会初日6/22(土)は入場無料
・身体障がい者手帳または愛の手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は半額

展覧会概要

早稲田大学を卒業し、召集・入隊を経て終戦を迎えた利根山光人は、戦後間もない混沌とした時期に、ストラヴィンスキーの音楽に触発された前衛絵画を油彩で制作する一方で、母校から払い下げられたリトグラフの印刷機をつかって版画の制作を開始しています。その後まもなく、岩波の記録映画「佐久間ダム」を見て心を揺り動かされ、その建設現場に取材した制作をはじめ、社会派の画家としての姿を現します。そして50年代末には、メキシコを訪れた際に見たマヤ文明に衝撃を受け、その古代文明をモティーフとした制作を開始しました。それ以後、たびたびメキシコを訪れた利根山は、生涯にわたって、古代文明からの示唆を現代社会や現代人への問いかけとして描き続けます。

また1980年代以降は、インド各地の石窟群や日本の祭り、闘牛、さらに自らを伝説の騎士と思い込んで遍歴の旅に出かけたドン・キホーテを主人公とした小説などをモティーフに、人間のバイタリティーを表現し続けました。さらにその一方では、戦争の爪痕を描き出すことで、現代文明の危機を伝えようとしました。

本展覧会は、迷走する現代という時代のなかで、こうした利根山光人の創作活動とその作品の意義を見直すものです。

Ⅰ.前衛へ―1950年代

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1956年 リトグラフ 400×550㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「夜」
夢のような奇妙なイメージを描き出した、シュールレアリスム風の初期作品。


Ⅱ.メキシコ体験以後―1960年代

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1960年 リトグラフ 308×240㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「鷲」
マヤ時代の遺跡に彫刻された「心臓を喰う鷲」に触発されて制作した版画。


Ⅲ.プリミティヴな造形―木版画

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1971年 木版 786×522㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「古代の鳥」
インカやアメリカインディアンのプリミティヴな文様を配し、モダンな作風でまとめた木版画。


Ⅳ.悪魔払い―メキシコ民族誌への興味

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1984年 スクリーンプリント 766×610㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「コーラ族のまつり」
体中に縞模様を描き、仮面をかぶって飛びまわるコーラ族の祭りに興味をもって制作した作品。

Ⅴ.日本の伝統行事・祭り

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1979年 リトグラフ 482×730㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「釜石虎舞」
岩手県釜石周辺に伝承される「虎舞」に触発されて制作したリトグラフ。利根山光人はこのほかにも、鹿踊りや鬼剣舞など、東北の伝統行事をモティーフに制作。

Ⅵ.ビバ・メヒコ(メキシコ万歳)

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1980年 木版 337×492㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「Viva Mexico」
簡潔に描かれたメキシコの太陽のマスク、牛などを鮮やかな色彩と組み合わせた装飾的な木版画。


Ⅶ.メキシコ古代文明と日本の装飾古墳

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1977年 リトグラフ 420×570㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「オルメカの謎」
オルメカは紀元前1200年頃から紀元前後にかけてメキシコ湾岸を中心に栄えた古代文明の民。その文明の巨大な石頭などを描いた版画。


Ⅷ.「馬」

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1982年 リトグラフ 775×590㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「消すな!」
激しく跳躍する馬の姿に、人類の平和の灯を消すなというメッセージをこめた作品。


Ⅸ.インド女神

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1987年 リトグラフ 695×990㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「大地の詩 A」
1959年に最初に訪れて以来たびたび旅行したインドの石窟に取材して制作した作品。

Ⅹ.闘牛

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1985年 リトグラフ 655×940㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「闘牛」
たくましい牛が激しくぶつかりあう闘牛のダイナミズムを伝える、大画面のリトグラフ。

XI.ドン・キホーテ 

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1986年 リトグラフ 695×980㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「蜃気楼A」
現実と妄想、正気と狂気の間を行き来しながらバイタルな旅をするドン・キホーテの姿に、高度な科学技術によってつくられた現代文明の脆さを感じて制作した作品。

XII.戦争の爪痕

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1989年 銅版画 1102×772㎜ 町田市立国際版画美術館蔵

「ヒロシマシリーズ A.M.8.15」
1988年から91年にかけて制作した戦争をテーマとした作品の1点。8月6日午前8時15分に広島に投下された、原爆の爪痕を描いている。


関連催事・イベント

プロムナード・コンサート

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演奏者:山口友由実(やまぐちゆうみ)氏(ピアノ)
日時:7月15日(月・祝)
1回目:13:00~、 2回目:15:00~
各回30分程度

館長によるスペシャル・ギャラリートーク

日時:6月30日(日)

学芸員ギャラリー・トーク

日時:6月23日、7月14日・28日、8月4日 各日曜日
*いずれも14:00から45分程度

利根山光人展 記念スタンプ・コーナー

場所:エントランスホール

美術館で語りあおう ― トークフリーデー

日時:会期中の水曜・土曜日

利根山光人(とねやま こうじん)略歴

1921年 茨城県に生まれる。1943年 早稲田大学教育学部を卒業。
1951年 「読売アンデパンダン展」に出品し、前衛画家として活動を開始。
1954年 佐久間ダム工事現場で生活し、そこでの体験をもとに制作。
1955年 東京国立博物館で開催の「メキシコ美術展」に触発される。
      59年にはメキシコへ渡航、マヤ文明に衝撃を受ける。
      半年滞在して制作した後の帰途に西欧を訪れ、ピカソ、ミロに会う。
1962年 マヤ遺跡の拓本を採集。
      翌年、東京国立近代美術館で「マヤ芸術の拓本展」開催。
1965年 この頃から建築装飾や壁画の制作を手がける(以後、30点以上を完成)。
1970年 日本での最初のマヤ文明展(日本橋三越)を実現させる。
1972年 メキシコ政府よりアギラ・アステカ文化勲章を受章。87年にも再受章。 
1975年 自宅に「ARTE TONEYAMA音楽絵画研究所」を開設。
      毎年展覧会やイベントを開催。
1979年 愛媛新聞主催「利根山光人の世界展」(いよてつそごう)開催。
1985年 第17回日本芸術大賞受賞。
1994年 逝去。生前はメキシコ、スペイン、インド、中国などを頻繁に訪れて取材。
1995年 世田谷美術館で「利根山光人展―太陽と古代・そして永遠への憧憬」開催。

プレスリリース

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平日:午前10時〜午後5時
(入場は4時30分まで)
土・日・祝日:午前10時〜午後5時30分(入場は5時まで)

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