館長あいさつ

はじめまして。2019年4月に着任いたしました。専門は浮世絵を中心とした江戸時代の絵画で、とくに広重の名所絵や浮世絵版画出版の背景要因などに関心を抱いてきておりました。
浮世絵研究者の目から見た町田市立国際版画美術館は、錦絵の誕生を中国の色摺り詩箋との関係で考察した1999年の「江戸の華 浮世絵展」や、浮世絵の武者絵展としては空前の規模と充実した内容を持つ2003年の「浮世絵 大武者絵展」など、斬新な企画で浮世絵学界をリードする展示をつぎつぎに開催する意欲的な館という印象でした。
もちろん館長として着任した以上、もっと広い視野で館の活動を理解しなければなりません。年齢を重ねるにしたがい、専門を新たに広げるという意欲も次第に薄れつつありましたが、こちらに来た以上、学生時代に戻ったつもりで近現代の版画にまで関心を広げていかなければと考えております。町田市ゆかりの版画家から西洋の作家までと美術館が対象とする範囲は広いので、おいそれとはできそうにありませんが。
美術館のある芹ヶ谷公園は、着任時の桜の花盛りから木々の深い緑へとすっかり姿を変えていますが、自分自身はまだまごつくばかりの毎日です。一日も早く館の活動の役に立てるよう頑張りますので、ご支援のほどお願いいたします。
館長 大久保純一