織田一磨の版画 大正・昭和の都会風景
展覧会概要
織田一磨(おだかずま、1882-1956)は、1900(明治33)年前後から1956(昭和31)年にかけて活躍した石版画家(リトグラフ作家)です。北斎を中心に浮世絵版画を研究し、それをベースに制作していた版画家でした。画題のほとんどは風景で、浮世絵版画同様に、時代の移り変わりを新鮮に表現していることが特徴です。
- 織田一磨の版画 大正・昭和の都会風景リーフレット PDF[542KB]
展覧会情報
会期:2014年1月5日(日) ~ 3月30日(日)
作品紹介
今回の展示では、まず織田が1916年から19年に制作した初期の代表作である『東京風景』と『大阪風景』の連作(共に20点連作)から、幕末から明治初期の面影をのこす風景を描き出した作品と、それとは対照的に近代的な建物や交通手段などが見られる風景を描いた作品を織り交ぜて紹介します。それらは散策によって江戸の名残をつづった、永井荷風の随筆『日和下駄』(1915年出版)で描写された世界を絵によって表わした作品といえます。
つぎに小林清親の「光線画」にも似た、大阪や京都の夜の光景を描いた『都会夜趣』(4点連作、1919年)を紹介します。この連作には、都市の内側に分け入る観察者としての織田の姿が感じられます。
つづいて、関東大震災(1923年)後の復興事業によって生まれた、新しい東京の姿を描き出した『画集銀座』(第1輯、第2輯、ともに6点連作)や『画集新宿風景』(6点連作)などを紹介します。これらには、江戸や明治初期への郷愁を払いのけ、新しい時代を見つめる織田のまなざしが読み取れます。
大正、昭和の都会風景を想像しながら、あるいは懐かしみながらご覧いただければと思います。