シリーズ現代の作家
深沢幸雄 生をきわめて
ミニ企画展
無料
展覧会概要
深沢幸雄(ふかざわ ゆきお 1924-2017)は、日本における最も重要な銅版画家のひとりです。駒井哲郎や浜田知明に影響を受けて1954年に独力で銅版画技法を習得、そのわずか1年後には個展を開催して注目を集めました。以降はさまざまな銅版画技法をもちいた作品を精力的に発表します。特にメゾチント技法に対する関心が強く、前人未到の高度な技術によって独自の芸術世界を作りあげました。
美術評論家の土方定一は、かつて深沢の作風について次のような言葉で高く評価しました。「自己の体験の世界のなかに沈潜し、純粋に象徴的な形をまさぐりながら、すなおに明確に語ろうとする」。自らの内面の葛藤を鋭く見つめた初期作品から始まり。1963年のメキシコ滞在を契機にダイナミックな作風へと展開を遂げた深沢は、壮大なスケールの時空を表現しつつも生命の根源にせまろうとします。1981年には独自の研究から電動ベルソーを完成して、大型のメゾチント作品を精力的に制作しました。一方1966年には銅版画の技法書『銅版画のテクニック』を出版して、版画教育の分野にも大きく貢献しました。
「すべては、銅版画家になるべく動いた」。これは、1990年に当館のビデオ取材に対して深沢が語った言葉です。本展では、戦争による不運から立ち直り銅版画の巨匠として大成した深沢幸雄の軌跡を、1980年代の作品を中心に約50点でご紹介します。
≪ダンテ『神曲』〈地獄篇〉より ジャンニ・スキッツ≫ 1957年
≪影(メヒコ)A≫ 1974年
≪影(メヒコ)B≫ 1974年
≪透明酒場≫ 1985年
≪顔の形の門≫ 1986年
≪顔は迷路≫ 1988年
≪埠頭を行く人≫ 2000年
展覧会情報
会期 | 2018年6月20日(水)~9月2日(日) |
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観覧料 | 無料 |