パリに生きた銅版画家 長谷川潔展
―はるかなる精神の高みへ― 【終了しました】

企画展
パリに生きた銅版画家 長谷川潔展
―はるかなる精神の高みへ― 【終了しました】
《時 静物画》1969年 マニエル・ノワール 269×360mm

展覧会概要

パリで創作活動して評価を得た銅版画家、長谷川潔(1891-1980)の作品122点を展示し、その精神的表現世界を再考します。併せて長谷川が敬愛したルドンや、さらにフランスで交流のあった画家らの作品45点も展示することで、長谷川の創作活動の背景を探りつつ作品の特徴や内容を浮き上がらせたいと思います。

長谷川潔は1910年代半ばに版画家として創作活動を開始、 1918年に日本を去ってフランスへ渡って以来パリを拠点に活動した銅版画家です。サロン・ドートンヌやフランス画家・版画家協会に所属してパリの画壇で高く評価されたほか、フランス文化勲章を授与されるなど、芸術家としての功績がたたえられています。現在は、日本でも版画史上きわめて重要な作家として位置づけられています。
町田市立国際版画美術館は開館まもない1988年に、フランス時代の代表作を多数含んだ長谷川潔の銅版画を約70点収蔵し、その後も50点以上の作品を収蔵する機会に恵まれてきました。それによって、現在長谷川潔作品は、質量ともに国際版画美術館の重要なコレクションのひとつとなっています。
本展覧会はそれらの作品を展示して、この版画家が目指した表現世界を探るものです。その精神性豊かな作品は、情報の海に身をゆだねる現代人の思考のあり方を問うことにもなるでしょう。

展覧会構成

第Ⅰ章(プロローグ)

版画家へ 1913-18

長谷川潔が画家を志し、版画の制作を始めたのは1912年(明治45)のことでした。本章では、日本を去る1918(大正7)年まで、美術文芸雑誌『仮面』同人の版画家として活動した時期の作品を紹介します。

第Ⅱ章

フランスへ―表現の模索から確立へ 1919-1941
画像
《裸婦》1936年 エングレーヴィング 265×169mm

フランスに渡り、表現を模索しつつ創作活動を開始してから、神話に登場するヴィーナスや南仏の風景、机上の静物などを描きつつ独自の表現を確立するまでの作品を紹介します。その間にマニエル・ノワール(メゾチント)やエングレーヴィングといった古典的版画技法を研究し、現代版画の技法としてよみがえらせています。

第Ⅲ章

仏訳『竹取物語』 1934(1933)

本章では1934年に完成した、長谷川潔による挿絵本『竹取物語』を紹介します。仏訳のテキスト(パリの日本大使館勤務の外交官・本野盛一による)とエングレーヴィングによる長谷川の挿絵が共鳴し、日本の伝統性と西洋文化が融合した近代挿絵本の傑作といえるでしょう。

第Ⅳ章

長谷川潔と西欧の画家・版画家
第1節 青年期の刺激

長谷川潔が「青年時代の自分に強い刺激を与えた」と記しているウィリアム・ブレイク、ムンク、ルドン、そして長谷川がコレクションしていたロドルフ・ブレスダン、シャルル・メリヨンなどの版画を展示し、長谷川が目指した表現世界について考えてみます。


《アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船》1930年 マニエル・ノワール 137×307mm

第2節 フランスの画家・版画家との交流

フランスで長谷川潔が交流したボナール、マティス、ピカソ、スゴンザック、シャガール、ラブルールなどの版画を展示し、長谷川の活動の背景にあるフランスの版画界について紹介します。

第Ⅴ章

白昼に神(神秘)を視る 1941-1950年代末

長谷川潔は第二次世界大戦中に、いつも見る一本の樹が不意に人間と同等に見えるようになり、万物は同じだと気づいて以来、自分の絵は変わったと書き残しています。本章では、その時期からしばしば樹木を描くことで、またコップに挿した枯れ草や窓辺といった日常の光景をエングレーヴィングで描き出すことなどで、自然の真理あるいは神秘を探究しようとした長谷川の仕事を紹介します。

第Ⅵ章

長谷川潔作品への共鳴

長谷川潔はパリを拠点に創作活動をしていましたが、春陽会展や日本版画協会展などの日本の展覧会へ銅版画を送り、日本人作家に影響を与えていました。長谷川と交流があったり、その作品から示唆されて制作したりした日本人版画家の作品を紹介します。駒井哲郎、丹阿弥丹羽子、小林ドンゲの作品を出品します。

第Ⅶ章

はるかなる精神の高みへ ―マニエル・ノワールの静物画 1950年代末~1969

長谷川潔は1950年代末から60年代末まで、細粒な点刻で下地をつくり、漆黒のなかからモティーフを浮かび上がらせるマニエル・ノワールによる静物画を多数制作しました。それらは、あらかじめ意味を与えたオブジェや草花、小鳥などを意図的に構成して深淵な精神世界を探求した静物画で、長谷川の表現世界の到達点として位置づけられています。

エピローグ

長谷川潔自身が技法と表現の両面からそれまでの仕事を概観できるように構成した1963年発行の版画集(評論家によるテキスト入り)と、最晩年の作品を展示します。

展覧会情報

会期 2019年3月9日(土)~4月7日(日)
休館日 月曜日
観覧料 一般 600(500)円
大・高生 300(200)円
65歳以上 300(200)円
小・中学生以下は無料
※( )内は20名以上の団体料金
※3月9日(展覧会初日)は無料
※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者保健福祉手帳をご持参の方と付き添いの方1名は半額
会場 企画展示室1・2
「パリに生きた銅版画家 長谷川潔展―はるかなる精神の高みへ―」プレスリリース PDF[771KB]

関連イベント

館長によるスペシャル・ギャラリー・トーク

2019年3月30日(土)

学芸員によるギャラリー・トーク

2019年3月10日(日)、3月24日(日)
*いずれも14:00から45分程度。観覧チケットをご用意下さい。

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