ルオーとシャガール―めくるめく挿絵本の旅へ― 【終了しました】
展覧会概要
本展では、20世紀のパリで活躍した画家ジョルジュ・ルオー(1871-1958)とマルク・シャガール(1887-1985)が、挿絵本のために制作した版画を紹介いたします。
ルオーは、聖書や文学作品、市井の貧しい人々をテーマとした画家です。カトリックの信仰に根ざした彼の作品は力強く重厚なマチエールが特徴的で、内省的な雰囲気を帯びています。一方、帝政ロシア領ヴィテブスク(現ベラルーシ)出身のシャガールの作品は、外国人画家としてのアイデンティティを感じさせます。作中にはしばしば故郷の風景が描かれ、時にはイディッシュ語(東欧のユダヤ人が使用する言語)の慣用表現もひそかに取り入れられています。ふたりの境遇は全く異なりますが、ともに版画では、心の中にあった世界を表現しているようです。
本展に出品されている版画の多くは、画商で出版者のアンブロワーズ・ヴォラール(1866-1939)のもとで制作されています。1917年に彼と専属契約を結んだルオーは、『ミセレーレ』、『流れる星のサーカス』をはじめとする本の挿絵を数多く制作します。また1920年代前半、政治的動乱に巻き込まれフランスを長く離れていたシャガールを見いだし、『死せる魂』の刊行を手がけたのもヴォラールでした。
本展では、シャガールの『死せる魂』、ルオーの『流れる星のサーカス』を中心に、約40点の挿絵を展示します。エッチングの細やかな線刻やアクアチントの味わいぶかい色調で表されたバリエーション豊かな版画を通じて、ふたりの画家が作品に込めた思いを読み取っていただければ幸いです。
展覧会情報
会期 | 2020年1月5日(日)~3月1日(日) |
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観覧料 | 無料 |