飯田善國の版画と《彫刻噴水・シーソー》
展覧会情報
展覧会名 | 飯田善國の版画と《彫刻噴水・シーソー》 |
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会期 | 2024年5月29日(水)~9月1日(日) |
会場 | 常設展示室 |
観覧料 | 入場無料 |
展覧会概要
飯田善國(いいだ・よしくに、1923-2006)はステンレスとロープを組み合わせた彫刻や動く野外モニュメント「ミラーモビール」など、新しい表現に挑戦した彫刻家です。当館が位置する芹ヶ谷公園を知る方にとっては、子どもの水浴び場として親しまれている園内の「虹と水の広場」の《彫刻噴水・シーソー》(1989年)の作者というイメージがあるかもしれません。
飯田は1946年の復員後に芸術家を志し、慶應義塾大学を経て東京芸術大学で油彩画を学びました。1956年にヨーロッパ留学した後に彫刻に転じ、1960年代後半からは周囲の環境を映しながら動くステンレスやスチール製の彫刻で独自の世界を確立しました。1970年代以降は日本国内外の公共彫刻を手がけ、文学的才能も発揮し多方面で活躍していきます。
本展では飯田の版画の世界として、ウィーン留学時代の1958-59年に手がけた銅版画や、詩人・西脇順三郎とのコラボレーションで生まれた『クロマトポイエマ』(1972年)、『うしなわれないことば』(1994年)など約30点の版画作品を展示します。さらに《彫刻噴水・シーソー》に着目し、飯田による構想時のドローイングや設置時のエンジニアリングの工夫、昨年行った改修工事の様子を紹介します。飯田が手掛けた野外モニュメントのうち、現役で動いている最大級のものである本作を通じて、「動く彫刻」の秘密に迫ります。
出品リスト
101年目からの飯田善國プロジェクト IIDA 101
飯田善國生誕100周年を記念し、飯田作品を所蔵する美術館等がゆるやかにつながり、その人と作品を次代に伝えるオープン・プロジェクトが2023年から進行しています。
この度の「飯田善國の版画と《彫刻噴水・シーソー》」展も、本プロジェクトの一環として開催に至りました。また長年町田市に住んだ飯田は、地元ゆかりの美術家でもあります。プロジェクトを通じて、他の所蔵館の学芸員や専門家、個人所蔵家、生前の飯田と親交のある個人など様々な方と繋がり、その中で得た情報が本展に反映されています。今後も、各方面との連携を図りながら、飯田善國という稀有な作家を顕彰してまいります。
本プロジェクトのコアとなる活動期間には、飯田善國の足跡を後世に残すためのリソース作成を目的に、全国各地で飯田善國に関する展覧会の開催が予定されています。
今後の開催情報
足利市立美術館 2024年11月16日(土)~12月26日(木)
会期終了
慶應義塾大学アート・センター 2024年5月27日(月)~7月26日(金)
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
目黒区立美術館