明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に
月岡芳年 (1839-92)は幕末・明治期を代表する浮世絵師です。歌川国芳の高弟として名を馳せ、現在その評価は一段と高くなっています。本展では、「歴史」に取材した作品に焦点を当て、芳年の画業を紹介します。
とはいえ、「歴史」とは非常に曖昧な存在です。学術研究で未解明な領域は数限りなく、また同一の出来事であっても、見る者によってその意味は大きく異なります。芳年が描く「歴史」も今日の私たちが思い浮かべる歴史と比べると、少しばかり違和感を覚えるかもしれません。明治10年代における芳年の作では、天皇を国家の中心とした明治政府の歴史観を踏まえ、『古事記』に綴られる神々や、忠義を重んじる賢臣が多く登場します。他方、晩年にあたる明治20年代の作では、講談や謡曲など芳年が好んだ文芸趣味が色濃く反映され、そこに描かれるのは虚実入り混じる幽玄な世界です。静と動の表現を巧みに使い分け、今なお人々を魅了しつづける芳年の作品を通じ、「歴史」を描くことがいかに創造的であるのかを探ります。
あわせて本展では、芳年門下の水野年方と右田年英のほか、回顧的な作風に長じた尾形月耕、そして芳年に私淑した風景画の名手・小林清親の作品を紹介します。彼らが描いた「歴史」には、芳年の影響だけでなく、独自の作風を模索した新時代の息吹が感じられます。
明治の浮世絵師が織り成した様々な「歴史」。その豊かな物語性をお楽しみください。
※前期【10/20(日)まで】・後期【10/22(火)から】で展示替えがあります。
展覧会情報
展覧会名 | 明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に |
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会期 | 9月4日(水)~12月1日(日) 展示替えあり 前期 9月4日(水)~10月20日(日) 後期 10月22日(火)~12月1日(日) |
休館日 | 月曜日 *ただし9/16(月)、9/23(月)、10/14(月)、11/4(月)の祝日と振替休日は開館し、翌火曜日は休館 |
開館時間 | 平日:午前10時~午後5時 土日祝:午前10時~午後5時30分 ※入場は閉館30分前まで |
観覧料 | 入場無料 |